アドバンス・シティ・プランニングの設計第一号であるVIA原宿について、アドバンス・シティ・プランニングの会長に話を聞きました。
事例紹介#003 VIA原宿
規模:RC造地下1階・地上3階建
竣工:1985年
ーVIA原宿は実際に現地で見てみると、正面から見るよりも奥行きがあり驚きました。
ここは道路に面しているのは、正面のところだけで、横にあるのは旧河川で、それが「ブラームスの小径」となったんです。
物件の横にあるこの「ブラームスの小径」がなかったら、実は大変でした。
「ブラームスの小径」は竹下通りとほぼ平行に走る通路で地元の人や原宿で働いている人々が混雑した竹下通りを避けて通る通路でした、しかし「ブラームスの小径」に面してお店を配置することを提案したおかげでたくさんの小さなお店を設けることができたのです。建築基準法上それらのお店からの幅1.5Mの避難通路を設ける必要ができましたが、その空間が「ブラームスの小径」との賑わいを醸し出し店舗ビルが成り立ち、土地の価値を高めているのです。
ー「ブラームスの小径」はヨーロピアンな雰囲気が漂っていますがこれは設計当時からこうだったのでしょうか?
「ブラームスの小径」は設計当初からありました。
もともとは明治神宮からずっとつながっている小川だと聞いています、それを埋めてできたものです。
小径脇に鋳鉄製の街灯がありますが、「ブラームスの小径」のコンセプトに賛同し当時フランスから輸入した街灯を建てたものです。
ー1985年に竣工したVIA原宿ですが、どういった経緯で設計を受けることとなったのでしょうか
ある知人からのご紹介でご提案させて戴きました。
当時は、エクセルなどもなく事業収支をはじける設計事務所が少なかった。
アドバンス・シティ・プランニングにはオフコンがあり、それで事業収支をはじけたので、
その結果をオーナー様や銀行にもっていって提案できたので、お話がきたのではないかと思います。
ー段差もある敷地で、設計は難しかったのではないでしょうか。
高低差もあり難しい土地でしたね。そのためステップフロアを取り入れたりの工夫をしました。
また以前、青山ベルコモンズの設計補佐をしていたのですが、その設計を行う際、黒川紀章氏がラビリンス(迷路)にしようと言い、設計したことがありました。VIA原宿にもそういったラビリンスの要素を取り入れ賑わいを提案した事が一つあります。
ーどうりで建物内を歩いていると、自分が何階にいるのか分からなくなるような不思議な感覚がありました。
外観のアール部分も印象的ですね。
建物は竹下通りから少しはいったところに位置します。
建物をアールにしたのは、にぎやかな竹下通りから見たときにも、建物の壁面が「ブラームスの小径」へ誘い込む様にしたためです。
テナントも多く入っており、原宿という土地に適した設計になるよう工夫されていたのですね。
本日はありがとうございました。