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建築物の設計において「基本設計」が終わると、「実施設計」の段階に入ります。
実施設計(じっしせっけい)は詳細設計と言われることもありますが、建築の分野では「実施設計」と呼ばれることが多いです。
「実施設計」について、ここではご紹介してまいります。
実施設計と基本設計の違い
「実施設計」は「基本設計」の後に行なう設計ですが、「基本設計」との違いを比較するのがわかりやすいです。
基本設計では、顧客である建築主の要望を聞き大まかな仕様を決める設計を行い、建築主と建築する建物のイメージを共有化することが目的です。
一方、実施設計では出来上がった基本設計を基にして、現場の施工業者がスムーズに工事に着工できるように詳細部分まで行う設計になります。
「基本設計」については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
「基本設計について | 建築設計用語を誰にでもわかりやすくご紹介!」
実施設計の目的
「実施設計」で詳細部分まで設計を行うと、ようやく細かな費用が算出され、最終的な見積もりと工事内容が確定します。
この工事内容と最終見積をもって、建築主と建設業者は工事請負契約を締結します。
また実施設計時に作成した設計図を利用してはじめて、自治体などに「建築確認申請」が行えます。
建築物の工事はこの「建築確認申請」の手続きを行い、「建築確認通知書」を受け取らないと、工事に着手できないことになっています。
そのため実施設計の目的は、最終的な見積もりの確定と工事請負契約の締結、そして「建築確認申請」を行うことと言えるでしょう。
実施設計の内容
設計はいくつかの種類に分かれます。大きくは「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つです。
「意匠設計」
意匠設計は、主に建築物の外観や内部空間・コンセプトのデザインに関する設計となります。一般の人が、安藤忠雄や隈研吾といった有名建築家を思い出す時の設計が意匠設計です。意匠設計は、建築基準法等の法的制約および構造躯体、空調衛生、電気設備といった建築に関わる全ての要素を統合した設計であり、敷地や周辺環境にも配慮しながら外観や間取りなどを考えます。
お客様から打ち合わせで要望を聞くことも多いため、デザイン、設計のスキルに加え、コミュニケーション能力も必要とされます。
「構造設計」
構造設計は自重への強度や、地震・台風や雪といった自然災害への安全性確保など建物が倒壊しないように、建築物そのものの構造に対して設計することです。具体的には建物の基礎や骨組み、柱や梁に対する設計となります。立地の地盤や地質も考慮しなくてはならないため、構造力学や数学、物理学、地質学といった知識が必要な上、緻密な計算が求められます。
「設備設計」
設備設計は下水道やガスなどの配管や消火設備、空調や換気、音響、電気(照明やインターネット等)といった建物のインフラに関する設計です。外から見えるものではありませんが、建物内で快適に過ごすために大切な設計となります。空気の流れなどは複雑なため、これらも専門的な知識が必要となります。
建築主からの要望を形にする「基本設計」では「意匠設計」が最初に行われることが多いですが、「構造設計」や「設備設計」が不要というわけではなく、常に連携しながら設計は進めていきます。例えば間取りにおける柱や梁の位置など意匠設計で設計した場合、構造設計や設備設計においても確認が必要です。
実施設計は、基本設計に基づく図面をさらに詳細を設計していくわけですが、実施設計においても相互に理解し合いながら進めることが大切です。
実施設計時の成果物
実施設計時における成果物としては、下記のようなものがあげられます。
<実施設計図書一覧> |
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建物概要書 |
特記仕様書 |
共通仕様書 |
外部仕上表 |
内部仕上表 |
法規チェック図 |
求積図 |
配置図 |
平面図 |
立面図 |
断面図 |
コア詳細図 |
矩形図 |
展開図 |
天井伏図 |
各部位の詳細図·建具表 |
家具図(備品) |
外構図 |
構造図 |
設備図(電気設備、空調換気設備、衛生設備、 EV等の昇降機設備等) |
上記は実施設計時の成果物の一例であり建築設計事務所によって異なることもあるので、業務委託契約時に確認をしておくとよいでしょう。
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