いろんなことを考える人がいるものです。「新宿」が最寄りのターミナル駅で「新宿」という駅名を募集広告に使いたいからと考えたキャッチコピーのようですが、その物件から新宿まで歩いて通う人はいない物件で、このコピーは不動産広告としてはアウトです。
募集広告を出す場合、賃貸か売買かによらず、マイソクやネット掲載などの媒体が考えられます。早期に成約できるよう、我々広告を作る側は物件の魅力を最大限に伝えるキャッチコピーに知恵を絞ります。しかし目立たせるために、やたらと個性的なキャッチコピーをひねり出せば良いという訳ではありません。なぜなら不動産広告には宅建業法上の様々な規制があるからです。
「不動産の表示に関する公正競争規約」では、「合理的根拠なしには使用できない用語」として
・全く欠けるところのない、または、全く手落ちがないことを意味する用語
・他社の供給するもの、または、他社より優位に立つことを意味する用語
・一定の基準により選別されたことを意味する用語
・最上級を意味する用語
・著しく安いという印象を与える用語
があげられています。
具体的に使ってはいけないNGワードにはどんなものがあるのかを見てみましょう。
例えば
「抜群」「特別」「比類なき」「ハイグレード」「掘り出し」「リーズナブル」などなど、いかにも広告に使いたくなるようなものがたくさんあります。ポイントは「合理的な根拠なしには」です。そもそも不動産は基本的に個別性のものです。その土地にあるその建物は他には存在し得ないものなので、全く同じものを同じ条件で比較することはできません。ですから例えば「ダントツ」とか「最上」などを使うと、比較の対象が曖昧に成らざるを得ず、合理的な根拠があるとは見なされないのです。
世に出ている募集広告を注意して見てみると、NGワードを使用したものが散見されます。募集広告にはたくさんの情報が詰め込まれていますが、言葉のひとつひとつまでしっかり気を配られているか、改めて見直して見てはいかがでしょうか。