2020年より続く新型コロナ禍。
今後、ウイルス感染の収束にあわせていわゆるアフターコロナと呼ばれる時期に入っていくと予想されていますが、同様に世界的な「インフレ」も懸念されています。
海外では脱マスクが進むなどアフターコロナへ舵を切りつつある中、ロシアとウクライナの戦争の影響もあり、世界は既にインフレに進んでいる状況です。
そうなると、今までのように「銀行に貯金していれば老後も安心」とはいきません。
これからの時代は、よりいっそうインフレを意識した資産防衛の考えや知識が重要になると言われていますので、必要な資産の知識を身につけて自分の資産を守っていきましょう。
2020年から続くコロナ禍により世の中の先行きがより不透明になり、飲食や宿泊業界などを中心に、経済にも大きな影響が現れています。
さらに新型コロナウイルスが収束、いわゆるアフターコロナと呼ばれる時期にさしかかると特に起こる可能性が高いとされているのが「インフレ」です。
実際、需要の回復とともに起こる急激な物価の上昇は新型コロナ単体でも想定されていましたが、長引くロシアとウクライナの戦争による穀物流通量の減少や輸送コストがかさむことで起こる輸入商品の価格上昇など、様々な理由によりインフレがより進んでいる状況です。
インフレとは物価が上がることですが、言い換えれば現金の価値が下がることです。例えば、これまで100万円で購入できていた商品が120万円払わないと購入できなくなったとしたら、その分現金の価値が下がったと考えることができます。
預金をしていれば利息で増やすことはできますが、現在の銀行預金の利息は非常に低いためインフレ分を利息で補うことは難しく、仮に資産全てを現金(預金)で持っていた場合、インフレの影響をまともに受けてしまいます。
日本で資産管理といえば昔から「銀行預金」や「定期預金」が一般的で、日本銀行の資金循環に関する統計によると資産の5割ほどを占めているといわれています。
他国の資産の現金・預金の割合を見てみると、アメリカで約1割、ユーロエリアで約3割なので、日本ではまだまだ預金以外の資産への意識がそこまで高くないともとれます。
参照:資金循環の日米欧比較
1980年代の後半から90年代にかけて起こったバブル経済の頃は、銀行の預金の利息は年5%前後(税引き後約4%)の銀行が多く、仮に100万円を預金したとしたら、1年でおよそ4万円の利息が得られました。
そのため、特別な資産運用や資産防衛をしなくても、銀行預金だけでも資産をある程度は増やすことができました。
しかし、現在の銀行預金の受取利息は0.02%と非常に低く、これだと同じ100万円を預金しても利息は200円しか得られません。
今は単に銀行に預金しているだけでは、銀行預金の利息だけで資産は増えにくくなりました。
そのため、資産防衛や対策もしないままだと、インフレによる物価上昇に資産(預金)の増加が追いつけない可能性が非常に高いのです。
インフレ対策(インフレヘッジ)の方法として、現金(預金)資産を株や投資信託、金、不動産などの資産に換えるのが一般的ですが、いずれの手法を使うにしても今まで以上に資産防衛の知識は重要になってきます。
次の項では、まず「資産」の分類について簡単に説明します。
金融資産は預貯金、株、保険(生命保険など)、年金、投資信託、外貨などを指し、日本では多くの人が金融資産、特に預貯金の割合を多くして保有しています。
いずれも主に金融機関などによって価値が決められているもので、実体(物)がなく手続きをすることで換金がすぐに可能です。
バブル経済の時期であれば、預金の受取利息が今よりかなり高かったため、株などを使わなくても銀行に預けているだけで預金を増やすことができました。
しかし今は預金の利息も下がってしまったため、株や投資信託など他の資産運用も視野に入れないと資産を増やすのが難しくなっています。
その中でも株や投資信託は、投資や資産運用をするうえで低い予算から始めることができることから、比較的取り組みやすい資産運用の方法であると言えます。
その上、株や投資信託は景気などにより価値が上下しやすいため、運用や売却のタイミング次第では大きな利益を得ることも可能です。ただし、同様に損失を生み、元本割れを引き起こす可能性もあるので注意が必要です。
損失を生む可能性を減らすために、株であれば会社の業績や業界の状況、外貨ならその国や世界全体の情勢など、利益以外の側面も見ながら選定したり運用するなど、細やかな取り組みが必要になります。
実物資産は不動産(不動産投資)や金(きん)などの貴金属、時計やクラシックカー、美術品などの「モノ」を指します。
金融資産とは違い、金融機関はあまり関わりません。
モノ資産は買った価格を売った価格が上回れば、上回った分が利益(売却益)になります。金などの貴金属であれば比較転価格変動は緩やかで上昇傾向が続いていますが、時計や美術品などの価格は市況や社会情勢によっても変わってくるため、価格が下がったところで買う、上がったところで売るというタイミングがとても重要になります。
不動産も売るタイミングによっては「売却益(キャピタルゲイン)」を得ることも可能ですが、不動産ならではのものとして「家賃収入(インカムゲイン)」があります。
マンションやアパートを運用していれば入居者がいて、入居者から得る家賃が発生することで毎月の固定収入を得られます。
固定収入が入る資産は不動産を除くとほとんどないので、まさに不動産ならではのメリットともいえます。
ただし入居者が居なければ当然家賃収入は発生しません。加えて入居者募集には費用がかかり、長期化すればするほど収益に影響するので、稼働率を良く運営する取り組みが重要になってきます。
また、建物には台風や地震などの災害によって倒壊や損傷のリスクもあるため注意が必要です。
そのため、不動産としての価値を維持するために物件の定期的な修繕や、トレンドにあわせたリフォームも重要です。
インフレ対策(インフレヘッジ)の方法としては、分散投資という考え方が一般的です。上記のような色々な資産をバランスよく保有することで、万が一どれかの価値が下落したときも、全体の損失を最小限に抑えることができます。
また、分散投資する中でどれが一番資産防衛に向いている資産かといえば、不動産をオススメいたします。
以下で、なぜ資産防衛に不動産が向いているのか説明します。
インフレにより物価が上昇し、100万円で購入できていた商品が120万円になってしまった場合を想定してください。仮に資産を現金だけ持ち続けていた場合、資産が2割減ったとも考えられます。また、銀行に預けていた場合、物価上昇分と同等の利息があれば釣り合うことも可能ですが、現在の預貯金の利率は非常に低いため、利息だけではインフレに追いつけません。
この傾向は特に金融資産で大きく見られる特徴です。では、実物資産の場合はどうでしょう。
時計やクラシックカー、美術品といったコレクション指向の強い実物資産は独自の相場観を持つことが多く、インフレ傾向とは必ずしも価格水準が連動しません。また、金(きん)は安定した価格上昇が期待できますが、上昇率はインフレ率ほど急ではないことが多いため、インフレ分全てを補うことは難しいと考えられます。
その点、不動産はインフレが進んで物価が上がると、不動産の価値も連動するように上がる傾向にあります。
特に駅の近くなどで立地が良い物件は需要も多いため、価値が特に上がりやすい(下がりにくい)です。
短期的に見れば不動産の価値の上下はありますが、中長期的には物件の選定に気をつけて経年劣化に抑えるための修繕やリフォームを行えば、不動産の価値は下がりにくいといえます。
例えば、株の場合は会社の業績が上がっているうちは株価も上がる傾向があります。
逆に会社の業績が悪くなれば株価も連動して下がることは多く、最悪のケースとして会社が倒産することも考えられます。
仮に、会社が倒産すると所有していた会社の株(株券)は何の価値もなくなり、ただの紙切れとなってしまいます。
これに対して不動産も経済の状況次第で価値が下がったり、建物は災害などによって消失してしまう可能性はありますが、土地自体が存在している限り、不動産の価値が完全に無くなることはありません。
特に都市部などアクセスが良いなどの理由で需要の多い不動産であれば、価値が下がりにくくなります。
とはいえ立地が悪いなどで需要がなかったり、物件の修繕を怠ると入居者が入らず家賃収入が得られないですし、不動産としての価値も下がりやすいので、消えることはないとはいえ物件の選定は重要です。
相続が発生した際、現金よりも不動産のほうが節税になることもあります。
例えば現金1億円を相続された場合は、1億円がそのまま課税対象となります。
これが不動産の場合は、仮に1億円分の不動産を相続したとしても「相続税評価額」による評価で不動産の価値が決まり、ほとんどの場合は元の1億円よりは低く算出されます。
どれくらい低く算出されるかは物件の大きさや居住中か収益物件として貸し出しているかなどにもよりますが、おおむね3割前後は現金より低く算出されるのが一般的です。
仮に同じ1億円でも現金より不動産の方が課税対象になる額が小さくなるため、節税につながることもあります。
ここまでは個人ができる資産防衛が中心でしたが、法人ができる資産防衛もあります。
法人の資産防衛は株などで資産を増やすのもそうですが、いかに『節税』するかがポイントになってきます。
例えば取引先の企業が倒産したときに、経営難や連鎖倒産にならないための支援策として『経営セーフティ共済』(中小企業倒産防止共済制度)という制度があります。
月額で5,000円から20万円の掛金が設定でき、全額を損金(必要経費)として計上することもできます。
また解約した場合も掛金に応じて解約手当金が受け取ることができ、掛金を12か月以上納めていれば掛金の総額の8割以上、40か月以上掛金を納めていれば掛金の全額が戻ってきます。
節税はもちろんですが、万が一のセーフティーネットとしても経営セーフティ共済は機能しています。
さらにこの戻ってきた掛金を退職金に使う企業も多いですが、退職金も損金として経費計上が可能なので節税にもつながります。
経費でいうと他にも役員報酬も給与所得控除のぶんだけ全体の所得を減らすことができますし、個人では所得控除の対象だった生命保険も法人では経費として扱えます。
このように法人は個人事業主と比べると経費に使える幅が広がるので、やり方次第ではしっかりと節税することも可能です。
特にアフターコロナでは先行きの見えない状況で、資産防衛も含めて世の中の状況が大きく変化することが予想されます。
インフレも意識した資産運用や資産防衛が重要になってきます。
現状、特に日本では諸外国と比べると預金の割合が多く、株や投資信託、不動産など預金以外の手段での資産への意識はそこまで高くありません。
ただ、今後来るであろうアフターコロナやインフレを考えると、預金だけではなく様々な手段による資産防衛が重要になってきます。
先行き不透明な中の資産防衛、不安な方はぜひ不動産の専門家に相談してみましょう。