ビル管理のお見積りはどうやって作っているの?現役ビル管理士にインタビュー

ビル管理士

ビルオーナー様としてはご自身のビル管理の費用が適切か知りたいと思います。
一括見積は気軽に出来るのがメリットですが簡易的なお見積りはどれぐらい実際のお見積りに近いのでしょうか?
今回は普段ビル管理のウェビナー等を担当されている網代部長にお話をお伺いしてみました。

 

現場担当者
tanto-ajiro
株式会社アドバンス・シティ・プランニング
管理本部・部長
網代 淳一

1972年、葛飾区出身のロスジェネ世代
新卒で中堅ゼネコン建築部門の設備(設計・積算・施工管理)を4年
バブル崩壊の波に飲まれ建物管理会社へ転職
銀座・渋谷で中規模商業物件BM管理を約30年
社内のビルメン百科事典。

─── 網代部長は普段ビル管理のウェビナー等でビル管理に関して様々なことをレクチャーしてくれていますが、そもそもどうしてビル管理士になったのですか?

網代実家がガラス屋でもともと建築には携わりがありました。
新卒で入った中堅ゼネコンでは学生時代に培った機械工学の知識も活かせる建築部門の設備部門に配属されましたがバブル崩壊の波に飲まれたため4年ほど経験した後、建物管理会社へ転職しました。

そこから銀座・渋谷エリアをメインに中規模商業物件BM管理を約30年経験してきました。コミュニケーション能力も低くなかったので作業着を着て現場を廻るビル管理の仕事は性に合っていたかなと思います。

─── そういったご経験を活かして現在は新規のご相談があった時の対応やお見積り作成、講習会など若手の教育を担当されているとのこと。
新規でお見積り等のご相談があった時はどういった流れになりますか?

網代:建物は基本オーダーメイドです。
完全に一緒の建物はないので、ご相談があったときはなるべく情報を集めたいと思います。
そのためのヒアリング等をまずは行います。

─── 情報を集めるのに有効になってくるのは現地の確認であったり図面でしょうか?

網代:図面がやはり情報源としては最適だと思います。
図面と一言に言っても、「計画図(ボリューム図面)、設計図、確認申請図、施工図、竣工図」とありますが、一番現場と沿っているはずなのは「竣工図」。
それらの図面は見たいですね。

そしてその図面に入っていないものを確認したいという意味で現地調査もしたいです。
現地を見に行くのは建物そのものを見るのはもちろん、近隣を含めた場所だったりも行って見ないと分からないので大切だと思っています。

─── 改修などを行ったビルに関しては改修工事のこともヒアリングが必要ですか?

網代:改修工事履歴があれば見たいですが履歴が無いビルも多いです。
また日常の管理見積という面ではそんなに必要ではありません。
ただ物件を買う、売買などの時はその物件の価値に関係するところなので
改修工事履歴は重要になってきます。

───  BMだけではなく、総合管理の時はどのようになりますか?

網代:PM(賃貸管理)の見積もりをする時には家賃収入がポイントとなります。
どれだけのテナント数や家賃でやっているのかを知る必要があるのでレントロールをくださいという時はあります。
PMの方は他社の見積もりの出し方と大きく変わらないと思います。

 

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網代部長
─── オーナー様としては相見積もりを取りたいと思いますが、よくある一括見積はどれぐらい信憑性があるものなのでしょうか?

網代:比較的新しいマンションやアパートで、現地で異常発報するような設備が無いため遠隔監視をする必要がなく、エレベーターもなく、4階建てくらいで給水ポンプもなし、必要最低限の消防設備だけで法律の点検も年に数回で済むといったような物件であれば一括見積もある程度実際の金額に近い金額が出せるかもしれません。

─── 商業ビルなどで簡易的な見積もりは出来ますでしょうか?

網代:無理だと思います。面積・階数・用途で設置設備や必要法定点検が変わってきます。
又、入居テナントのグレードを踏まえて清掃もクオリティや回数を考えなければなりません。
経営者側の目線として、管理費はこれぐらいで収まらないと利益が想定できないという観点からの設定は出来ると思います。
ただ管理費として本当にどれぐらいかかるのかというのは、やはりお見積りの依頼をいただいてきちんと出さないと難しいと思います。

こちらとしても例え同じような規模の同じようなエリアの物件だとしてもあまり情報がないまま「これぐらいじゃないですかね」というのは避けたいですね。世間話程度の会話では言えますがそれでも「ちゃんと資料を見ないとわからないですけどね」といった前提つきですね。

もちろん弊社は管理物件の実績として大規模物件は少ないにしろ中小規模の類似物件はたくさん取り扱いがあります。
そうすると例えば火災報知器の費用はこの広さだったらこれぐらいみたいな基準があったりしますし、図面見てこの設備ならこれぐらいの費用だろうという値段感は磨かれています。類似する物件のデータをたくさん持っているのでそれらをすぐに当てはめてスピード感を持って概算をお出しするのは出来ると思います。

─── 経験値があるからこそ正解に近い値にたどり着くのが早いということですね。
そういったとりあえず気軽にお見積りだけしたい、相談だけしたいといったお問い合わせをしても大丈夫でしょうか?

網代:大丈夫です。問題ありません。
弊社は専門の営業がいるわけではありません。私や各支店の担当が対応しています。
ビルのライフサイクルは長く、そのためご契約いただくとビルオーナー様と管理会社のお付き合いは長いお付き合いになることが多いです。
煙たがられるようなしつこい営業はしていませんのでご安心いただければと思います。

法律や街の環境も日々変わっていますので管理の見直しをしてみるのも面白いとは思います。
真摯に対応しますのでぜひ気軽にご相談ください。

─── 最後に網代部長がビル管理というお仕事に向き合う際、大切にしていることはなんでしょうか?

網代:ビル管理はサービス業です。

あくまで家賃を得る権利があるのはオーナー様。
オーナー様の物件を扱わせていただいている立場であることを忘れ、物件を自分のもののように勘違いして乱暴に対応したりすると、協力会社さんだけでなくオーナー様の信頼も損ねてしまいます。
ビルオーナー様と長く付き合うと仲良くなるということはあり、ツーカーの仲になるからこそ陥りやすい部分もあります。
ただ信頼関係となれ合いは別。お互いの立ち位置をしっかりと理解した上で業務に携わるようにしています。


もちろん「自分がオーナーだったらどうするか?」という目線をもって管理を行うのは大切。ただしオーナー様としても、管理は丸々任せて楽したいオーナー様もいればご自身で管理に介入されたい方もいらっしゃいます。

建物それぞれが異なるようにオーナー様もそれぞれご意向が異なります。
そういった意味でもオーダーメイド、バランス感覚を持った管理を心がけています。

─── 本日はありがとうございました。

 

 

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