商業ビルの相続対策に抜本的な空室対策が効果的な理由とは

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- 杉浦 祥太
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生きていく上でどうしても避けて通れないのが相続の問題です。
相続人が被相続人からの遺産を引き継ぐ場合、まず基礎控除分が引かれ、相続財産が一定の額を超えた分に相続税が発生します。そして相続財産については現金ではなく不動産で相続をすることで相続税を抑えることが可能です。それは現金より不動産の方が相続税を計算するときの評価額が低くなるためで、不動産を利用した相続対策は一般的になっています。
不動産には様々な種類があり、区分所有のマンションから一棟の賃貸マンションやアパート、オフィスや店舗といった事業用のビルの場合もあるでしょう。
こうした不動産を所有したオーナー様が、さらに次世代へ相続を検討した際はどういったパターンが考えられるでしょうか。
住宅よりも大きい税負担
まずはビルを相続する場合の相続税に関して簡単にご説明します。
特例により固定資産税や都市計画税の軽減措置がある「住宅(居住用賃貸物件)」とは異なり、「商業ビルやオフィスビル(事業用賃貸物件)」には同様の軽減措置がありません。そのため、税負担がデメリットに感じることがあります。ただし、相続税については「住宅」と同様の対策が有効です。
ビルを相続する際に利用できる節税のための制度例
「事業用賃貸物件」の相続に関しても、下記の方法などにより相続資産の評価額を抑え、税負担額を減額することが可能です。
・「貸家の敷地として使用されている宅地(貸家建付地)」における評価減
・「小規模宅地等の特例」などの制度の適用(亡くなった人が所有しており一定要件を満たす土地に対する特例)
ただ、駅近などの好立地では路線価方式で割り出される土地の評価額が高額だったりと、ビル相続の場合にはそもそもの税金の負担額が大きくなる傾向があり、上記のような制度を活用しても収支が厳しいという事例も多く聞きます。
こうした中、ビルそのものを改めて振り返ってみます。
ビルを次世代に相続しようとする際、多くの場合お持ちのビルは築年数が経過しており稼働率が下がったり、建物に様々な不具合が生じてきている可能性があります。
そういったビルを次世代に相続させようと思った際、選択肢は大きく2つあります。
ビルオーナー様における選択肢
一つは売却です。ビルを管理することなくすぐに手放したいオーナー様や、築年数の経ったビルを売却し新しいビルに買い替えるといった選択肢を取るオーナー様もいます。
ただ稼働率が低下している物件を何の対策もしないまま売却をすると、売却時に損をしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
もう一つはビルをリノベーション・コンバージョンすることにより空室対策を実施することです。
抜本的な空室対策が節税対策にもなる理由
例えば手元資金を使わず、融資を受けてリノベーションやコンバージョンを行うとします。リノベーションやコンバージョンによりビルの空室率が改善し、ビルの資産価値の向上が見込めます。さらに融資という借金により相続税の課税価格を下げられると、節税と収益によりビルオーナー様にとって2つの利益が得られる可能性があるのです。
ここで大切なのは、ビルの資産価値をあげることの出来るリノベーションやコンバージョンを実施するということです。
せっかく工事をしても、結局稼働率の低いままなどとなると相続対策の節税になるどころか、単なる出費となってしまいます。
もちろんリノベーションやコンバージョンで資産価値を向上させるためには多額の費用がかかります。そのためこの辺りの判断は、専門家の意見も聞きながら収支計画を立てた上で2代目ビルオーナー様ともよく相談しながら検討するのがよいでしょう。
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- 宅地建物取引士
- 杉浦 祥太
北辰不動産株式会社 流通事業部 宅地建物取引士/公認 不動産コンサルティングマスター/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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