基本設計とは | 建築設計用語を誰にでもわかりやすくご紹介!
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建物を建築することが決まり、建築設計事務所と契約が締結された後、いざ設計という工程に入ると、大きく分けて「基本設計」と「実施設計(詳細設計)」「工事監理」という流れで設計業務を行っていきます。
ここではまず「基本設計」について説明してまいります。
目次
基本設計の目的
建物を設計してもらおうと設計事務所に依頼し、業務委託契約書の締結が済んだら最初に行うステップが「基本設計」です。
何事も物事を進めていくには、まずはゴールをはっきりさせることが大切です。
つまり顧客である建築主(施主)との建物完成イメージや建築工事費等の共有が、「基本設計」の段階における大切な目的の一つであるといえるでしょう。
それではどういった流れで行うのでしょうか。
基本設計の流れ
まずは、お客様である建築主からの要望や、建築意図等の確認をします。
建築主は案件によって個人である場合も、企業である場合もあります。
どちらにせよ、建築主から求められる建築物の機能や仕様について、何度もヒアリングをし打ち合わせを重ねて、要望や意図を汲み取ることが重要です。
一方で、建築物は「都市計画法」や「建築基準法」といった多くの法律に準じて建てる必要があり、そういった法的制限や、下水道・電気などのインフラ供給状況、立地の条件、投資金額と建物グレード等について建築主に説明をし、理解をしてもらう必要があります。
つまり建築主からの要望を聞いた上で、建築物の設計にあたり必要な制限や色々な条件を整理し、仕様書や基本設計図書、説明書をもって認識のすり合わせを行うのです。
具体的には、下記のような事について打合せを重ね調整や決定をしていきます。
設計前に議論する内容例
- 建物の使用目的
- 建物の規模
- 耐用年数(計画供用年数)
- 建物の仕様
- 予算
- 収支計画
- 敷地の立地条件
- 地盤の状況
- 建築基準法等における法的制約の有無
- 近隣の環境について
- その他(電波障害、日照権、住民協定、緑化規定、騒音・振動など)
建築物のことだけでなく、予算に関する議論や収支計画に関しての検討もとても大切です。
方針が決まったら、建物の概要を決めるための設計図書の作成を行っていきます。つまり具体的に設計図を描く作業です。
基本設計で行う設計は、「実施設計」前に行う大まかな設計となります。
「基本設計」と「実施設計」の違いは、簡単に言うと、「基本設計」が施主の理解を得るために行う設計であり、「実施設計」は、施工を担当する業者が建設コストを算出し現場で施工するための施工図を作成する為の設計図となります。
また「基本設計」では、建築構造、電気、給排水といった衛生設備、空調や換気設備、エレベータ設備など各分野における大まかな仕様を決定するための設計であり、概略的な図面の作成と言えるでしょう。どんな部材を利用するかなどの比較検討や調査もこの段階で行われるため、様々な作業に関する概算見積も徐々に明らかになっていきます。
プランと呼ばれる間取りを現した平面図なども、この段階で作成し、顧客に提示します。
完成イメージをプレゼンテーションするために、パースといったCGで作成した透視図や場合によっては模型を作成することもあります。
このようにして様々な資料等で説明しながら顧客が要望したイメージやコンセプト通りになっているか、変更が必要な箇所はないか、お互いのイメージの共有を図っていくのです。
基本設計時の成果物
上記の業務内容から基本設計における成果物としては、下記のようなものがあげられます。
基本設計の成果物一覧
- 計画説明書
- 配置図
- 平面図
- 立面図
- 断面図
- 矩形図
- 外構・主要部分の展開図
- 建具表
- 建築(構造) 構造計画説明書
- 仕様概要書
- 構造設計概要書
- 電気設備設計概要書
- 給排水衛生設備設計概要書
- 空調換気設備設計概要書
- 昇降機設備設計概要書
- 透視図
- 模型、等
- 工事費概算書
- 全体工程表
一般的な設計においては、上記のような基本設計図書、仕様書、概算等でいったん与条件を確認して次の「実施設計」に進むことになっています。
しかしながら戸建ての住宅など、これらの工程が一緒になっている場合もあります。
そのため、どういった資料をどのレベルまで作成するかなどについては、業務委託契約時にきちんと確認をしておくと後々トラブルにならずによいでしょう。
まとめ
基本設計だけで場合によっては数ヶ月程度かかることもありますが、ここでしっかりと建築主と設計事務所との間で設計図書と条件(コストを含めて)の整合を図っておくことが、今後の設計を成功に導くとも言えるでしょう。
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