投稿日:2020年11月26日 更新日:2024年07月26日

排煙設備と排気設備|間違いやすい目的や機能の違い

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排「煙」設備と排「気」設備。なんとなく同じような意味合いのように感じられる一字違いで紛らわしい用語ですが、設備が設置される目的や機能が異なります。違いをわかりやすく説明します。

排気設備イメージ

排煙設備とは

排煙設備は煙を排出するための設備です。飲食店などの厨房の煙と混同されやすいのですが、この場合の煙は火災時に大量に出る煙のことです。排煙設備は煙を排出することにより、建物内の人が避難するための経路と時間を確保することを目的としています。

排煙設備は2種類

排煙設備の種類は「自然排煙設備」と「機械排煙設備」の2種類にわけられます。自然排煙設備は煙が上部に登っていく性質から、排出用の窓を天井付近に設け、必要な時に開放することにより煙を外に排出します。
機械排煙設備は、機械を使って煙を強制的にダクトから屋外へ排出します。火災時の避難に関係する設備であるという性質上、停電時にも稼働できるように非常用の電源を備えています。

排煙設備の設置対象

排煙設備の設置は、建築基準法上「避難施設等」(施行令第5章)と消防法令上「消火活動上必要な施設」(施行令第7条)によって定められています。それぞれ設置基準・構造基準、また設置緩和要件が異なるので、建築物の設計時には特に注意が必要です。

排気設備とは

排気設備は換気設備を構成する一部分の要素です。室内の空気を屋外に排出する「排気設備」と、屋外から綺麗な空気を室内に取り入れる「給気設備」により構成されているのが「換気設備」で、室内の空気を入れ替えるシステムとしてどの建物も設置が原則です。

換気設備の種類

換気設備には室内外の温度差や風圧を利用して換気する「自然換気」と、機械により強制的に換気を行う「機械換気」があります。
機械換気の方式には第一種・第二種・第三種とあり、用途によりそれぞれ給気側と排気側両方、給気のみ、排気のみに機械ファンを使用します。
給気と排気の両方を機械で制御する第一種換気は、室内と屋外との気圧差の調節や、空気浄化装置や熱交換器を組み込むことにより空気を安定的に維持できることから、オフィスビルや集合住宅、戸建住宅といった常に人がいるところで使われることが多いようです。
第二種換気は給気を機械、排気を自然換気で行います。室内に入る空気をコントロールできるので、汚れた空気の侵入を防ぐこともでき、主に手術室やクリーンルームに採用されています。
第三種換気は給気に自然換気、排気に機械を使用します。直接強制的に汚染された空気を取り除くので、トイレやゴミ置場、飲食店の厨房などで多く使用されています。また比較的低コストで導入できるため、一般的な居室などでもよく用いられます。

コロナ禍で注目。空調換気設備(全熱交換器)とは

空調換気設備は第一種換気をより発展させたものになります。そもそも室内の換気を行うと、冷暖房機などの空調設備によってせっかく適温になった空気が排気されてしまいます。さらに夏は外部の暑い空気、冬は冷たい空気が給気されるので、冷暖房の効率が悪くなってしまうのです。
熱交換器を搭載した空調換気設備を使用すると、換気時に室内の空気と外気の熱のみを移動させる仕組みによって、室内温度をできるだけ保ったままでの換気が可能になります。温度変化を抑えることにより冷暖房設備の負荷を下げて省エネにつながり、電気代が少なくなるのが大きなメリットです。
このような空調換気設備の代表的なものとして、三菱電機が開発した「ロスナイ」がありますが、室温の「ロス」が「ナイ」というのが名称の由来だそうです。
コロナ禍においては、三密を避けるため改めて換気が重要視されています。従来よりも家にいる時間が長くなり、室内環境や省エネを見直したいというニーズや、環境省による飲食店などを対象にした「大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業」(公募期間は終了しています)などがきっかけで、換気設備全般についてより一層注目されていくかもしれません。

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この記事の監修

網代 淳一
(株) アドバンス・シティ・プランニング 管理本部部長 建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)

 

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