新型コロナウィルス感染症により、各界に深刻な影響が生じる今、ビル管理業界への影響はどうなのでしょうか。そしてウィズコロナやアフターコロナ(コロナ後)の状況下では、どうなっていくのでしょうか。
ビルメンテナンスという事業は、経済産業省が発表した「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者」の中に含まれています。
以下事業者等については、「三つの密」を避けるための取組を講じていただきつつ、事業の継続を求める。
4.社会の安定の維持
- ① 金融サービス(銀行、信金・信組、証券、保険、クレジットカードその他決済サービス等)
- ② 物流・運送サービス(鉄道、バス・タクシー・トラック、海運・港湾管理、航空・空港管理、郵便等)
- ③ 国防に必要な製造業・サービス業の維持(航空機、潜水艦等)
- 企業活動・治安の維持に必要なサービス(ビルメンテナンス、セキュリティ関係等)
- ⑤ 安全安心に必要な社会基盤(河川や道路などの公物管理、公共工事、廃棄物処理、個別法に基づく危険物管理等)
- ⑥ 行政サービス等(警察、消防、その他行政サービス)
- ⑦ 育児サービス(託児所等)
引用元
「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(2020年4月7日 改正)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihon_h(4.7).pdf
つまりビル管理は、生活をしていく中でなくてはならない仕事であるということです。
実際、外出自粛を行う中でも、お住いのマンションやアパートにおいて、日々ビルメンテナンスを行ってくれている方は、ほとんど変わらずに働かれていたのではないでしょうか。
ただし施設別に見ると、やはりコロナウィルスにより影響を受けている場所もあるようです。
例えば、ホテルなどの業界は、コロナウィルス感染症の影響で需要の低下が起きた業界であり、ホテルや宿泊施設でのビル管理は当然ながら、それに伴い休職や人員削減を余儀なくされたでしょう。
同じく、緊急事態宣言を受けて休業に至った映画館やゲームセンターといったエンターテインメント型の施設や、大型のショッピングセンターなどの商業施設においてのビルメンテナンスも会社によって対応は異なるかと思いますが、影響は受けていると考えられます。
一方で、オフィスビルや、病院・老健施設、マンションやアパートでの住居系の施設では、コロナによる休職や人員削減、収入減はほとんど影響がないといえるでしょう。
むしろ場合によっては、ビル内のオフィスやテナントがリモートワークや休業中のこの期間に普段行いづらいメンテナンスを行うことで、残業代がでたケースもあるようです。
また人員が体調不良になった場合も、代わりに出勤をしなくてはならず、それにより残業代が出る場合も考えられます。
いずれにしても、緊急事態宣言の状況下でも毎日欠くことのできない業種であると言えるでしょう。
残念ながらコロナウィルス感染症の拡大により、経済状況は厳しい局面を迎えています。
倒産による失業者も増加しています。
そんな中で、ビルメンテナンス業界は不況に強い業種であるといえるでしょう。
先ほど申し上げた通り、穴を空けることができない仕事であるため、ある意味安定している職種です。
実際、リーマンショック後や就職氷河期には応募が殺到し、就職するのも難しかったと言われています。
また清掃業や、警備など体力的に厳しい仕事もあるため、慢性的な人員不足の業界でもあります。
そのため、今後コロナの影響が長引けば、ビルメンテナンス業界への転職者が増加すると考えられます。
現状、ビルメンテナンス業界では65歳以上のシニアの方が多く働いていらっしゃいます。
しかし各国で特に高齢者の外出自粛が求められていることからもわかるように、コロナによる感染は高齢者ほど重症化するリスクが高いことが証明されています。
そのため、withコロナやアフターコロナになってからは、今までと変わらずに高齢者の方の働き口になるかは疑問が生じます。
一方で、先ほど申し上げた通り、失業者がビルメンテンス業界へ転職することが予想されるため、ビルメンテナンス業界での従業員の年齢の割合に変化が生じる可能性も考えられます。
これはビル管理業界に限ったことではありませんが、Withコロナやアフターコロナにより、働く上での様々なルール化や業務内容の変化が考えられます。
特にビルメンテナンスという職業は、大体が現場のビルや防災センターに出勤しないと勤務にならない職種であり在宅勤務ができません。
そのため2メートル以上間隔をあけた業務や、マスク着用、また清掃作業においても今まで以上にこまめな消毒や、ごみの分別へ注意が必要になったりと、様々な変化が起こりうると考えられます。
コロナウィルス感染前からすでにIT化の導入はビル管理業界でも現れていましたが、withコロナやアフターコロナではその傾向がますます顕著になると予想されます。
ITを使った各テナントの管理や、巡回・点検の効率化、ロボットを使った清掃業務など、様々なITサービスやツールが今後も増加していくでしょう。
不動産テックといわれるオンライン内見やVR(バーチャル・リアリティー)内見サービス、IT重説は以前からありましたが、コロナの影響により普及が一気に進む可能性があります。コロナの影響下においては非対面接客を目的としたサービスの導入であっても、家具の配置イメージや室内の詳細な寸法を測定できるなど、オンラインならではのプラスアルファがこれを機に標準化していくかもしれません。
コロナによる影響は長期化する恐れがあると言われています。
仮に収束したからといって「コロナ前」の状況に戻るとは限りません。
今こそ新しい価値観や行動により、新型コロナウィルスと闘っていくことが必要になるでしょう。
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